6月4日、インド・グルガオン
首都デリーの近郊都市であり新興工業地域として有名なグルガオン。(引用元:http://www.mouthshut.com/product-reviews/Gurgaon-reviews-925052123)
ここでは日本人発のベンチャー、テラモーターズ、YOYOHoldingsで働く2人の若き日本人の方にお会いしました。
テラモーターズ関鉄平さん、YOYO Holdings河野邦彦さんです。
関さんはインド支社を立ち上げ軌道に乗せようとしている段階で、河野さんはまさにインド立ち上げの準備中ということで、お二人ともご多忙の中時間を割いて頂きました。その中で聞いたインドビジネスのやりがい、大切にしているコトなどを書き起こしました。
*YOYO Holdingsは「モバイルインターネットを新興国の人々に」という理念のもと、フィリピン・マニラに主な開発拠点を置き、東南アジア最大のモバイルリワードプラットフォーム「PopSlide」を、フィリピン・インドネシア・ベトナムの3カ国で展開中の会社です。
「PopSlide」は、ロックスクリーン上にニュース、エンタメ情報、天気予報、新着アプリ、懸賞情報などの情報を配信し、利用者がそのロックスクリーンを解除したりコンテンツを読んだりするだけで、プリペイド携帯の利用料金(ロード)を得ることができるアプリ。「PopSlide」を通じて新興国のすべてのモバイルユーザーに、無料インターネットを提供していく。 |
*テラモーターズ (Terra Motors) は、日本の電気自動車(EV)製造会社で、「製造業で世界ナンバーワンのメガベンチャーになる。」を理念に、二輪・三輪車・シニアカーなどの製造・販売を行っている。正式商号はTerra Motors株式会社。 本社は東京都渋谷区に置かれ、ベトナム、フィリピン、インドにも支社が置かれている。工場は埼玉県さいたま市岩槻区に所在する。(Wikipediaより引用) |
−本日はよろしくお願いします!早速、今お二人はインド立ち上げをしていらっしゃいますが元々インドを訪れた経験はあったんですか?
関さん「あります。僕は学生時代の世界一周の時に訪れたのと、テラモーターズとしてはインド立ち上げを行う前にフィリピンから視察という形で何回か訪れました。」
河野さん「僕は1回もないんです。Misaoという英語学校を運営していたのでその流れではありますが。」
(以下敬称略)
新興国ならではの課題解決のバリュー
−では、そんなインド立ち上げを行っていく中での一番のやりがいは何ですか?
関「やっぱりテラモーターズとしてはEV(電動自動車)という乗り物に関して、彼らの課題解決ができた時のバリューがより大きいということですね。
電気代にしろ、環境問題にしろ、彼らが日々抱えている問題はEVを使って解決できるし、それは政府もそうだし、社会問題もそうだしお客さんの収入を上げたりも出来る。
そしてその収入に対してかなりセンシティブで、例えばタクシードライバーの収入をうちの電動リキシャを使っていただくことによって1.5~2倍にすることができます。
なぜならガソリンから電気になればコストを10分の一に下げることが可能になるので非常にバリューがあることだなと。
それで実際ニーズもあるのでそれがやっぱり一番のやりがいですよね。」
河野「YOYO Holdingsとしても基本的には一緒です。
我々としても無料で多くの方にインターネットを使ってほしいなと。その課題を多く持っている方が東南アジア、ひいてはインドに多いんですね。」
関「ビジネスモデルがそうだもんね。」
河野「ですね。
で、その課題認識が大前提にあるので、マーケットがここになっているという感じですね。何で日本でやらないの?と言われてもやっぱりインターネットを欲している人がここには多いというのが一番なんですね。
日本にはない大きな課題があってそれを解決していく。これがインドでやることの大きなやりがいですね。」
自分の常識に入らない
−では、インドでビジネスをするにあたって大切にしている考え方はありますか?
関「人と接する上で自分の常識に入らないことですね。

つまり、インド人て、僕ら日本人の常識外のことを平然と言ってきたりやってきたりするわけです。でもそれって環境によるものじゃないですか。
例えばぼくたちがインドで育てば、そういう態度だったり、そういう行動様式であったり、そういう話し方になると思うんです。
だから根本的にインド人が問題というわけではなくてそこにある環境、経験の回数、教育によって大きく左右されてしまうので、その文脈で相手がやっていることは自然だよねと受け止めるようにしています。それが重要な事だと思います。
だから一方的にそれはおかしいよとは言えなくて、ただ単に日本と違うことであって、別にインドではそれが普通なことであればそれでいいじゃんという話です。」
−そういうことを実感したエピソードってありますか?
関「電車並ばないのは有名ですよね。彼らからしたらちゃんと並んでたら電車に乗れなくなっちゃうので(笑)。
あとは仕事のやり方が刹那的なことです。どういうことかというと、日本みたいにしっかり事前にスケジュール立ててPDCAを回してやっていくことがないんです。
なぜかというと物流が遅れるとか、未来に対して確実なものが少ないないのでその都度解決していくという思考が強いからなんですね。」
インドマーケットの規模とスピード
−ありがとうございます。河野さんはどうですか?
河野「まだ僕はプランニングの段階ですが、色んな方にお話聞いて思うことは2つですね。
それはマーケットがめちゃくちゃ大きいということと、マーケットのスピードがめちゃくちゃ早いということです。
だからまず1つは規模感を大事にします。
マーケットが大きいので小さくやらず大きく目指すということですね。『目標は何か?』というのはとにかく皆に聞かれますし、ユーザーの数、何百万人にするのか、何千万人するのかと日本の場合と桁が1つ違います。
あとはスピード感。
いつやるんだ?と。これもし3ヶ月後やるんだったら負けるよとすぐ言われますね。マーケット自体が何ヶ月単位で動いているものなんで、出来るだけ早く大きく攻めるというのは意識しています。
インド人はあざといので『こういうことをやる』って話してもその時は『そうなんだ〜』くらいの感じで流されるんですが、あとあと確認してみたら見事に先手を打たれていたりするらしいんです。
こういうマーケットの動きが早いということを各国でやっているメンバーに言っても「そんなこと言われたことない」と言われますね。」
−インド人やインドのオモシロイ特徴とかはありますか?
関さん「Everthing is possible感ですかね。日本じゃ売れないような明らかにおんぼろな車でも走っていて、それが実際に売れているんです。完璧じゃなくても何でもとりあえずマーケットに出してみる。そういう特徴がありますね。
河野「まあ、ティピカルな所で言ったらインド人は時間守らないかつ言い訳がめっちゃ上手です。あとはとにかく知ったかぶりをしますね。
地図のゼンリンさんのカーナビのCMで、ある人が2人のトゥクトゥクに道を聞くんですけど、両方違う方向向いてこっちだよと言うんです(笑)。あのCMはインド人の特徴を如実に表していますね。
これってビジネスの面でも見られる時があって、オッケーオッケー大丈夫ととりあえず言ってくるんです。そういう人は多い気がしますね。」
✔日本人の海外に対するメンタルブロック
−最後に、海外に出て働いてみたという視点から日本はどう移りますか?
河野「日本人について言うと、多くの日本人が海外で勝てると思ってないと感じています。その理由としては、海外進出に対するハードルが心理的に凄く高く設定されているんだと思います。
よく日本でプロダクトローンチして、成功してから海外進出ってありますが、それだと遅いんですよね。海外の方は最初から世界をターゲットと考えているので。
かつ、そういう例、ロールモデルがまだいないということもある種のメンタルブロックになっていると思います。日本人は真面目で非常に優秀だけど、やっぱりメンタルが問題かと思っています。
あと学生に関して言うと、僕は前職で大企業の人事部で働いていたこともあって沢山の学生さんと接する機会があったのですが、学生の半分、いや4分の3くらいの方は夢がないんですね。別に僕は夢がなくてもいいと思っているんですが、彼らはそこに関してのコンプレックスが大き過ぎると感じています。
自分に対して自信や自己肯定感がない、そこが問題なのかなと。
正直、社会人一年目と学生の差で能力の差はほとんどなくて、大きく違うのは自己肯定感の湯無駄と思います。そして、それがある種のメンタルブロックになっている。これは非常にもったいないと思っています。
だから学生はもっと部活でもいいし、起業でもいいし、何か自分が設定したことをやり遂げて自信とか自己肯定感をつけることが大事なんじゃないかと思います。」
関「僕も思っていることは一緒ですね。日本人はやる前から勝手に諦めすぎている人が多い気がします。とりあえずやってみればええやんと。海外にも出てないのに自分で可能性を潰している。
もう海外は昔みたいに垣根ないし。どんどん距離って近づいているんだから。
とりあえず日本で何か悶々としているんだったら海外でてやってみるのもありなんじゃないかと思いますね。」
関鉄平さんプロフィール 慶応義塾大学経済学部卒。大学時代に世界一周を経験し、自分が日本人であることを伝えると、現地の人がホンダ、ソニー、パナソニックの商品を使って生活が豊かになっていると言われ、非常に感謝された。自身が日本人であることを誇りに思い、世界に対してインパクトがあることを日本発で行いたいと考える様になる。 多くの有名大企業の内定を辞退し、大学4年次から国内営業担当としてインターン開始。 大学卒業後すぐ、2012年7月よりフィリピンの現地事務所に駐在し、アジア開発銀行の支援するトゥクトゥク10万台EV化プロジェクトの入札のマネージメント、フィリピンでの販売・メンテナンス網構築に従事。2014年10月よりインド・デリーに駐在。現在はインドの事業責任者と採用責任者として従事している。 |
河野邦彦さんプロフィール 東京学芸大学教育学部卒。大学時代は東京学芸大学蹴球部にて副主将を務め、関東1部リーグ昇格に貢献。幼い頃から教員を目指していたが、大学時代に訪れた新興国の子供に衝撃を受け、彼らに貢献したいと考え始める。大手証券会社等の内定を辞退し、株式会社オープンハウスに入社。営業を経て、2年目から最年少新卒採用担当に抜擢され、採用戦略の策定・実施、内定者の教育担当を兼任する。 2014年10月より、単身インドに渡り、インド留学のMisaoの経営に携わる。インドでの知見を生かし、2015年4月よりYOYO Holdings. にジョイン。現在はインド・デリーに駐在し、インドの事業責任者と人事を兼任している。 |